訂正と移動テレビ

以前のさるさる日記で、バスで急ブレーキがかかると切符切りのおばさんが「不好了(ブハオラ)」と声をかけると書いてしまったが、「扶好了(フハオラ・つかまってください)」の間違い。お詫びして訂正します。「不好了(ブハオラ)」は直訳すると「よくない」という意味で、この2年半、なんだか妙だなあと思っていたのだけれど、私の勘違いのほうが妙だった。


バスといえば、最近、北京でバスに乗るとテレビがついていることがある。そのモニタではニュース、公共番組、テレビの案内番組、広告などを放映している。これは昨年より、一部のバス会社で試験的に始めたデジタル移動テレビ放送で、このところ話題にのぼるデジタルテレビのビジネスモデルの1つ。上海、広州などの都市でも展開されている。


バスに限らず、タクシーやビルのエレベーターホールなどにも設置されている。タクシーは客が後部座席に乗ると、助手席シートの後ろについたモニタでテレビが見られるというもの。もっとも放映内容は上記の通りで、番組を選べるわけではないが。


北京でこのビジネスを一手に引き受けている北広伝媒移動電視は、昨年の売上げは1667万元、今年は5000万元の見込みと急成長をアピール。2005年末までにはバス4000台、タクシー1万台に設置するという。


ここ数ヶ月でじわりじわりと、出先でテレビに出くわす機会が増えてゆく。私の中の中国らしい風景は、たとえば何もないところで、人がぼんやりとしゃがみ込み、ただじっとたたずんでいるようなシーンだが、けれどそれはいわゆる外国人の郷愁にすぎない。この国でも確実に「スキマ」は金に変わってゆくのだと思う。