北京、離婚理由のトップは「外遇」

私の大好きな北京の夕刊紙「法制晩報」で、これまた大好きな離婚特集をやっていた。北京の新興インテリ日刊紙「新京報」はスッパヌキ記事と知識人のコラムで、「真実」を追究し売上をぐんぐん伸ばたが、「真実」の追究しすぎで手入れが入ってしまった。一方、「新京報」よりやや遅れてスタートし、けれど同じくぐんぐん伸びた「法制晩報」は、なんとも庶民のハートをくすぐる三面ネタで、中国メディアの商売の妙を発揮している。


さてその離婚特集。北京の120組の離婚夫婦を調査したところによれば、結婚5年目が一種の分水嶺になるそうで、5年以内に離婚したケースが3分の1を占めたとか。また、離婚夫婦の半数以上が35歳以下の若夫婦で、株券や保険などの共同財産の分割が新たな難題となっているそう。


個々人の関係において自己の主張と利益ははっきりさせる中国では、離婚の権利争いはなかなか大変そうである。その他、定年退職が離婚のきっかけになりやすいとか、離婚調停の原告の6割が女性である背景には、経済の独立があるとか、日本でも聞きそうな話が続く。経済が発達しはじめた社会は、離婚模様もだんだん似てくるのかもしれない。


なお、離婚の原因は、家庭の暴力、子供の問題などから、経済矛盾(男性が女性の物欲をがまんできない←直訳)、セックスの不和までいろいろ。そして全体の3割を占め、トップとなったのが「外遇」。要するに愛人の存在である。


記事中の「典型案例」によれば、今年63歳の金なにがし氏は、妻の鄭なにがしさんに愛人ができたとして離婚を申し立て。しかし法廷での息子の証言によれば、「愛人ができたのは父さんのほう」だそう。法廷は「双方が疑いをもつ関係は正当ではない」と認識し、すでに2年前から別居状態にあることから、離婚の申し立てを受理したとのこと。


これに関する「専門家の分析」では、「現行の法では、重婚または配偶者を有する者が第三者と同居した場合のみ、相手方に誤りがあったとして離婚が認められる。また現行法には『外遇』の記述はなく、ただ一方が確実な証拠を提示し、相手方と第三者との間に性行為が発生したことなどを証明することによって、相手方に誤りがあったことを判定できる」とのこと。


執行力の弱い中国の法律ならではのコメントというか、そんなものさっさと離婚させてしまえとというか。それにしても、63歳で愛人というのもあっぱれなら、愛人が離婚理由のトップというのは、さすが愛人ブームの中国かもしれない。もっとも13億人もいるなかの120組の話にすぎないが。


いずれにせよ、「真実」の追求より、離婚問題を大真面目に追究するほうが、中国の新聞的には安定して発展できそうである。