日の丸掲揚

東京都教育委員会のサイトで「入学式、卒業式等における国旗掲揚及び国歌斉唱の指導について(通達)」を見ていて「おお〜」と思ったのだが、中国でしばしば目にする「××の政策を推進するための若干意見(通達)」とか「××を強化するための若干意見(通知)」といったものにちょっと似ている。


中国では法律や政策を打ち出したはいいけれど、なかなか徹底されないときに、重ねてゴリゴリ押すためにこうした「通達」が発令される。たとえば、地方局では、外国番組は必ず標準語で放映することが義務づけられているのだが、再三にわたって、地元言語にふきかえて放映していると(中国では各地の言語が外国語ほど異なる)、「(通知)海外衛星テレビ番組の吹き替え放送に関する管理強化」といったものが出される。


中国共産党と東京都教育委員会は、体質的にけっこう似ているところがあると思う。しかし日本の場合は一応、民主国家であり、その理屈からいえば、国旗を掲げたい人がいてもいいのと同じくらい、掲げたくない人がいてもいいはずである。これをあまりごり押しをすると、かえって反発も激しくなって、嫌悪感を抱く人も増えるだろうから、目的達成という意味では、あまり功をそうするとは思えない。思えないのにやっているということは、通達することに意味があるのであって、国旗掲揚そのものにはあまり意味がないのかもしれない。


そもそもそんなに教育委員会でごり押ししなくても、たとえばWBCで日本を応援するとなれば、日本人的には日の丸を振りたい気持ちになるだろうと思うのだが。


そういえば、中国では天安門広場で毎日、日の出とともに国旗を掲揚し、日の入りとともに降揚する。警備兵がジャッジャッジャッとやってきてなかなかものものしく、ちょっとした観光ポイントになっている。地方から旅行に来た人は、これを見てしみじみ「中国」を実感する。


東京都でも入学・卒業式シーズンには、天安門広場的スペースを設け、大々的に国旗の揚げ提げして存分にアピールすればいいのにと思うのだが、これはきっと、全国の学校でみんなそろってやるというところがポイントであって、戦没者追悼施設案的な発想には意味がないのだろう。