王様コースとエイズ売春

日系企業の進出が多い上海には、「王様コース」という日本人出張者の夜の楽しみがあると聞いた。何が「王様」かはよくわからないが、7000円とか8000円くらいで男の人がすっきりできるというものだそうだ。上海の日本人向けフリーペーパーの夜のお店案内には「王様コース」の文字が乱舞している。


その中国では、エイズが急速な蔓延期にある。衛生部の1月の発表によれば、昨年末までのHIV感染者は65万人、うち発症者は7万5000人で、昨年中の死亡者は2万5000人とのこと。以前、100万人を超えたという報道もあった。


それで感染経路の一つである売春に関連して、今年の全人代では「管理売春」の提案が提出されたという(http://www.sankei.co.jp/news/060311/kok048.htm)。京華時報では「エイズ患者の売春婦に軽い判決」(3月15日)という報道もあった。


同記事によれば、売春罪で逮捕されたエイズ患者のリリさん(仮名)は、本来なら性病患者の売春として禁固5年以上に処せられる。しかし彼女はすでにエイズを発症した末期患者で、なおかつエイズゆえに健康診断を提出しなければならない昼間のまっとうな仕事に就けず、治療代もかかるために売春をしていたという経緯が考慮され、禁固1年の判決が出たとのこと。


エイズ予防治療条例」が施行されたのが今年の3月1日。これにより、エイズ患者への差別の禁止、教育宣伝、治療保護などを法制化、各地方政府の義務と責任が明文化された。(http://news3.xinhuanet.com/politics/2006-02/12/content_4168475.htm)。昨年は、中国の「エイズ村」を取り上げた閻連科氏の小説『丁荘夢』が出版された(http://news3.xinhuanet.com/book/2006-01/25/content_4096220.htm
。中国では今、エイズをめぐり、社会的価値観のありようが問われ続けている。