自主技術コンプレックス

今に始まったことではないが、中国政府は自主技術の育成に力を入れている。国家発展開発委員会は10日、2006年からの第11次5ヵ年計画に盛り込む国産自主技術・自主ブランド政策の具体的施策を発表した。自主技術の開発にさらに本腰が入りそうだ。


しかし、中国の自主技術は、いまのところ宙ぶらりんなものが多い。3G携帯の規格にはじまり、無線LAN規格、次世代DVD規格など、いずれも国際規格の後追いに留まる。最近は、北京-上海間の高速鉄道も、自主開発するという話が出ている。これはそもそも、日本の新幹線かドイツかどちらの技術を取るかで長く決着がつかないでいたもの。


自主技術による国産規格は大きな利権の絡む問題だ。海外に流れるライセンス料を、ぜひとも国内に留めたいところだろう。同時にそれは、中国の強烈なコンプレックスでもある。


今のところ、中国の自主技術はなかなか強引な模倣のつぎはぎ技術に見える。けれど、日本もかつて模倣といわれながら、独自の技術力を磨いてきたことを考えると、後追い技術だからといってあまりのんびり安心ばかりもしていられない。そのうち、あっぱれな中国技術が生まれたとき、この国も何かが一つ大きく変わるのではないかと思う。