どこでもいいけどよくない。

日中の男女10人ほどで食事をすることになった。いわゆる合コンの類で、中国人もほぼみな日本経験者である。その中国人の男性に場所選びをお願いすると、挙がってきた場所が、火鍋屋だった。中華式のとてもホットな鍋である。


何故火鍋なのかと問うと、「俺は辛いものしか食わないから」とのこと。それにしても火鍋はないじゃんと言うと、「どこでもいいって言ったじゃん」と言う。


確かに私は「どこでもいい」と言った。しかし、日本で女性が「どこでもいい」と言ったとき、それは少なからずの場合、「どこでもよくはない」のである。どこでもいいけど、オシャレな店を選んでね、とか、どこでもいいけどおいしい店を選んでね、という意味なのだ。そう言うと、「中国ではどこでもいいというのはどこでもいいんだよ」と打ち返された。


彼はまったくもって正しい。正しいけれど、それはそれでなんとなく釈然としないディスコミュニケーションなのである。