進化の果てのシンプルなるもの。

最近、日本から持ってきたリップが切れてしまった。最近の北京はたいていの物はなんでもあるのだが、リップクリームのバラエティぶりでは東京に及ばない。


中国では、需要の高いものはたちまち無数の商品が出現する。たとえば、女性用ナプキンはスーパーの棚の端から端まで埋まるほど各種ある。もっともそのうち使えるのはごくわずかで残りは儲け産業に参入したいコピー商品だ。この状況を考えると、リップの需要はそれほど高くないらしい。北京はこんなに乾燥しているのに。


外資系大型スーパーでも匂いつきリップや色つきリップまたはグロスばかりならんでいて、無香料無添加の普通のリップは種類がない。普通のリップを求めて、ホワイトカラーOL御用達、中国のソニプラ的「屈臣氏(ワトソンズ)」まで行っても、やはり並んでいるのはグロスが多い。


グロスの種類が多い理由はよくわかる。女性誌でも口紅がつるつるぷるるんの女の子たちが登場する。乾燥防止ならグロスでもいいかもしれないが、私はあのベタベタ感があまり好きではないので、普通のリップがほしいのだ。


結局、ワトスンズオリジナルのパパイヤリップを買いながら、そういえば80年代によく買っていたリップが匂いや色つきの女の子っぽいものだったのを思い出した。


最近、スローフードスローライフからさらにロハスと進化するある種のライフスタイルと考えると、シンプルの追求とは、さまざまな余計なものを一通り堪能したあとに来るのかもしれない。


ということで、バブルでイケイケの北京では最近、「楽活族(ロハス)」などという言葉も台湾・香港経由で出現し始めてはいるものの、シンプルなリップをいろいろ選べる日が来るのはもう少し先のことになりそうだ。