「驚天東方号」と女性専用車輌

ドラマといえば、「驚天東方号」という大陸ドラマの再放送をやっている。2002年に放映された国際列車のハイジャックテロドラマ。主犯格の男は白人、その愛人兼相棒の女性は東洋人で、なぜか名前を奈美子という。中国語だとナイメイズ。私の名にそっくり。


犯人は乗客を人質に取り、1000万ドル(たぶん)を要求。列車の業客は老年夫婦に若いカップル、子供たちと引率の先生、ちょっとクセのありそうな謎の男、妊婦、正義の味方の塊みたいな警察官などがそれぞれにドラマを展開する。


「9.11」を意識して作ったと思われるが、中国の国際列車を白人と日本人的名前の女性が乗っ取り大金を要求するという展開はちょっと無理があるような気がしなくもない。あるいは警察官の妙な正義ぶりとか、全然動いているように見えない列車の中の舞台とか、やけにモダンでカラフルな国際列車の内装とか、英語を話しているはずの登場人物の言葉が全部吹き替えとか、せっかく盛り上げたインターナショナルさがローカライズされてぎこちない。中国のサスペンス系ドラマはしばしばツクリモノみたいな正義に流され、エンターテイメントがどこかにすっとんでしまう。


列車つながりで、ニュースが1つ。北京の人気朝刊紙「京華時報」によれば、上海-北京間の女性用寝台列車が不人気で、登場から1週間で消滅かもという。もっとも北京で取りやめても上海の方では継続しているそうだが。


中国を旅行していると、列車で女性の一人旅に出会う。話を聞くと仕事や親戚訪問などで、単なる旅行ではないが、かつてに比べれずいぶん増えたのではないかと思う。上海-北京間は2年ほど前に一等車輌のみの直通列車が開通して以来、本数的にこの直通列車を利用することが多いのだが、一等車輌はドアつきコンパートメントのため、見知らぬ男性と同室になるとなんとも居心地が悪い。


中国で女性専用なんて珍しいし、いいアイデアじゃんと思ったのだが、広報が足りないのか、はたまた女性客がそこまで多くはなかったのか。いっそあのコンパートメントのドアをぶち抜いてしまえば、わざわざ女性専用なんて考えなくていいと思う。