胡同の年の瀬

n_tianzhong2006-01-27

日の暮れた胡同を歩きながら、路地を曲がると、そこは赤い提灯と裸電球が点々と続く小さなナイトマーケットだった。ベニヤを渡した上に肉を並べただけの肉屋の店先で、老人が一人、まるまった背中を伸ばして肉の塊を指差している。魚屋の軒先には発砲スチロールの箱が並べられ、溢れるほどの魚が濁った目をして赤く血で汚れた腹をさらしている。


くだもの屋の店頭に置かれた正月用のイチゴは、くすんだ灯りのもとプラスチックの飾り物のごとくつやつやと輝いている。真っ赤な正月飾りを売る店、赤い下着を売る店、赤い爆竹と花火の店、金の混ざった赤が無造作にぶちまけられたバケツの絵の具のように辺りを染める。


行き交う人々はダウンジャケットを着込み、うごめく影が流れるように過ぎ去ってゆく。被った帽子のスキマからにじり込んでくる冷気に耳がしびれる。喧騒は地の底から沸いてくる。


しばらくゆくと、ふいに店が途切れ、辺りが静まりかえった。暗い提灯がさがった門前に、赤い旗が風に吹かれていた。明日は大晦日だ。