テレビ収録見学

中央テレビの経済チャネルCCTV2の番組収録を見学した。最初に電話で「女子十二音坊が来るからおいで〜」と釣られ、番組名を聞いたところ「しゃんうーしーじえん」。てっきり「上午(午前)時間」だと思っていたところ、「商務時間」という今春から始まるビジネス番組だった。


そしてスタジオには、確かに楽坊の女の子たちもいたのだが、メインゲストはプロデューサーの王暁京氏、中国のレコード会社の社長(たぶん)、北京大学の先生などのほか、日本での楽坊の育ての親であるミューチャー・コミュニケーションズの塔本一馬氏が招かれていた。


番組テーマは「女子十二音坊の仕掛け人」とでもなるだろうか。内容は主に楽坊が日本でどうやって成功したかという話で、塔本氏のキャラと意表をつく発言と頭のよさが中国人に受けていた。


一見、普通のビジネス番組ではあるのだが、日中が同じ目線で、一つの「ヒット」という現象について語ることは非常に珍しい。中国の文化を日本で広めた楽坊だったからこそ、当局の許可が降りた番組ではあると思うものの、中国の番組にこうした形で日本人が出演するケースは、ほかに愛ちゃんくらいしか知らない。


私は反日にも日中友好にも、もともとたいして興味はない。ただ中国のテレビに、普通に日本人が招かれ、普通にビジネスの成功の秘訣について話をしていることが妙に新鮮で、そう考えると、日中双方のテレビにはこんな「普通」の光景が本当に少ないのだなあと思える。


ところで、番組プロデューサーのおじさんに「塔本氏の話は中国の人にとってどうですか?」と聞いたところ、日本語で「よーし」と返ってきた。それは抗日ドラマの日本軍人の決まり文句のため、日本人が聞くと「……」となるのだが、中国人にとっては数少ないなじみのある日本語なのである。


「よーし」「よーし」と繰り返したプロデューサーのおじさんは、中国語で「これは2回に分けて放映することになるよ」とのこと。収録は夕方6時過ぎから始まり夜9時すぎまで続いた長丁場。最後の方はゲストも観客もへとへとだったが、いい番組になったのか、「よーし」という変な日本語で煙にまかれたのかは、放映を観るまでわからない。放映は3月ごろだそうなので、日にちが分かったらまたお知らせします。


もっとも靖国参拝でもあれば、この放映も飛んでしまうかもしれないが。