スノボとくそったれ

北京郊外の南山スキー場にスノボに行く。1年ぶりのスノボだ。今年も去年に引き続き、スキーブームの北京では、新たなスキー場が増えている。南山は以前からあるスキー場だが、特にスノボ専用コースもあり、スキー客以外にボーダーでもにぎわっている。


今回は、シーズン前に突然ファックスでお知らせが送られてきた「北京スキー」というインターネットサイトの割引チケットを利用した。正規では360元(約5000円)くらいのところ、ほぼ半額の190元(2500円)。サイトに書かれた番号に電話をし、希望のスキー場と人数を告げて予約をすると、スキー場の入口にいるという係員の名前と携帯電話を教えてくれるというシステム。


当日、スキー場について連絡すると、やってきたのはスキー場内にあるスポーツショップのお姉さんだった。正規の窓口の目と鼻の先で、格安チケットに金を支払いながら、こんなことでスキー場はいいのだろうかと思うのだが、そもそも正規の値段でスキーに来る人などあまりいないだろう。


くだんのスキーショップがどういったルートで格安チケットを手にいれ、どのように「北京スキー」サイトと契約をしているのかはナゾであるものの、なかなか上手い商売だ。北京には、こうした「よくわからないけど上手い」商売が少なくない。


ところで北京のスキー場で特徴的なことといえば、スキーを始めたばかりの中国人青年たちが、ほぼ直滑降でゲレンデを降りてゆく姿だ。彼らは急には止まれない。少しでもバランスを崩すと、そのへんの人たちを巻き込みハデにひっくり返る。せめてもう少し初級コースで練習してもよさそうなものだが、彼らはあくまで直滑降で突っ走る。


あるときリフトにのると、20代後半か30代前半とおぼしきお兄さんたちと一緒になった。ぎこちなくリフトに乗り込んだ彼らは、中級コースに上がるのは初めてだという。「このくらいなら簡単だよ、いけるだろう」とゲレンデを見ながら話しているうち、降り場が近づいた。が、転落防止用のバーにスキーが絡まり、バーを上げられない。隣にのっていた私も一緒に、そのままリフトで下に戻ることになった。


「また、このまま上にのぼってくればいいよ!」と彼らはご機嫌だったのだが、リフト乗り場まで戻ってきたところで、係員に降りるように言われた。そして「え、また並ぶの!」と慌てておりようとしたところ、ハデにひっくり返った。


結局、私ももう一度20分ほど並びなおすはめになったのだが、他人の目を気にしない自信家タイプの、昨今よくありがちな中国人青年を、くそったれ、というくらいの権利はあると思う。