イベント騒動と「すみません」

北京で今年半ばに開催されるイベントに参加予定の日本企業が、イベントの実行委員会事務所が2つに分裂してしまって困っているという。経緯はなかなかややこしいのだが、突き詰めればお役所的システムのコンフリクトとでもなるだろうか。


中国でのイベントは政府の認可が必要で、その際、認可許可証には「主催は××、副主催は○○」というふうに記載され、これが決定事項となる。イベントの冠である主催に政府筋の組織、実際の運営を行う副主催に民間会社という構成で行われることが多い。


今回はこの副主催にあたる民間会社が内部で分裂を起こし、ここを出た数人のスタッフが新たな実行委員会組織を作ってしまった。しかも参加申し込み期日直前の出来事で、参加者側としてはいったいどちらに申し込んでいいのやら、そもそもこんな調子で果たしてイベントが開催されるのやらで困惑しているという状態。


通常であれば、すでに政府が認可した同民間企業が正当な存在となり、新たな実行委員会の存在は認められない。しかし、今回は主催の国営会社もこの民間企業を支持しておらず、新事務所の総監督に同国営会社の社長が就いている。


いったいどんな内部分裂があったのか、推測の域を越えないのだが、民間会社が台湾資本であることと、双方に聞いた話や公開されているイベント許可証の文面からすると、台湾対大陸での主張のもつれが可能性の1つとして考えられる。


新事務所が「同民間会社は手を引くべき」という一方で、民間会社側は「政府の認可証はうちにあり、うちが正当」と主張する。主催である政府筋の国営会社としては民間会社を支持できる状況ではないものの、申し込み直前になって中央が一端お墨付きをあたえたものを覆すようなことはなかなかできないというところで、コンフリクトしてしまったようだ。


現在は諮問会を実施しているところとのこと。それにしても民間会社、新事務所、国営会社と話を聞いたところ、どこでも「すみません」「ご迷惑かけまして」を繰り返し聞いた。日常生活ではなかなか謝ってもらえることの少ない中国で、これほど「すみません」を言ってもらったのは今回が初めてのような気がする。