上海領事館職員の自殺について。

上海領事館の男性職員が自殺した事件について。亡くなった直後に徹底的に追求していなければ、今になって中国側に何度目か(?)の申し入れをしたところで、返り討ちにあうのは当然だろう、というのはおそらく皆が思ったに違いない。


もっとも職員が夜のお姉さんにはまって、それがゆえに当局に圧力をかけられたなどというのは、外務省のおエライ筋にとって「恥」以外の何モノでもなく、できればうやむやのままおしまいにしたかったのかもしれないが。


亡くなった方はとても真面目な方だったのだろうと思う。そしてその方と家族には大変お気の毒な事件だったが、国家機密云々のセンセーショナルな部分をさしひくと、在中の駐在員にとっては「あ、またか」という話だった。


家庭の主婦に飽きたおばさんたちが韓国俳優に萌えるように、海外赴任となったおじさんたちはキュートな若い夜のお姉さんにはまる。両者の違いは、ヨンさまは所詮虚像にすぎないが、お姉さんにはしっかり実体があり、おじさんたちから「金」をせしめようとしている点にある。もちろんすべてのお姉さんがそういうわけではなく、ハッピーエンドにいたるケースもあるが、死ぬ目にあうまたは本当に死んでしまうおじさんの話も聞く。それはまた、中国にかぎった話ではない。


会社や組織から派遣される海外慣れしていない日本のおじさんは脇が甘い。特に日本よりも物価の低い中国やその他のアジアの国では、会社が支給するゴージャスなマンションと給料が、日本ではごく普通のサラリーマンであるおじさんたちをたちまちリッチマンに変えてしまう。同時に仕事のストレスやそれを発散するための娯楽の少なさから、おじさんの中には癒しを求めて恋の夢を見る人も少なくない。


個人的には楽しければ何でもいいじゃんと思うのだが、金銭に限らず、今回のように地雷を踏むとツケは大きい。海外で仕事をするということは、夜のお姉さんにしろ公安にしろあるいは競争相手にしろ、地雷を仕掛ける相手は有象無象にいるわけで、そのモラルを国内で取り沙汰してもどこか不毛だ。所詮、海外は戦場みたいなものではないかと思う。