就職詐欺

昨日の続きで、プールの事務所に電話をしたところ、あっさり「期間延長できるよ」と言われた。そう言われても、行ってみたらできないってこともありうるだろと、思わず疑心暗鬼になるのは、これまでもそんなことは日常的にあったからだ。そう思うのは日本人の性なのか、単に私の習性なのか。中国の人ならとりあえず「そうか」と納得し、もしも実際に違った場合はテンション上げて怒り出しそうに思う。


日本人、中国人という括り方はデフォルメされた虚像になりがちだが、あえてそうした言い方をするならば、中国の人は明日のことをいちいち細かに考えない。問題は起きたときに考える的大陸気質のおおざっぱさというかおおらかさは、ついつい先を考えてあれこれ心配してしまう小心者の日本人的ワタシには、ちょっとうらやましい。もっとも、最近の一人っ子世代はそうともいえないが。


話変わって、その一人っ子世代である大学生たちが、就職難でキリキリしている。大卒というキャリアは以前のような超高級ブランドでなくなり、卒業者が増加していることも原因の一端である。熾烈な受験戦争を勝ち抜いて、せっかく大学に入っても、順風満帆な未来像が描けるとはかぎらない。


そんな大学生を狙う闇業者について、CCTVの番組で取り上げられていた。大学生に就職を約束するかわりに高額なトレーニング費を請求し、金を受取るとその後ドロンという斡旋業者や、「研修」という名目で半年もタダ働きさせた挙句に、やっぱり雇えないという企業などが後を絶たないという。


番組では、就職時にいかなる名目であっても金銭を要求することは違法であること、研修にあたって必ず契約書を交わすことなどがアナウンスされていた。CCTVはお上のメディアなので、政府がちゃんとやっていますよ的PRも多分に含まれることが多い。けれどこうした庶民派番組で中央テレビがビシバシとアナウンスするときは、日本のお茶の間テレビにない威力を発揮する。


さておき、中国はさまざまなところで価値の変革が生じている。大学生を狙った就職詐欺がテレビで話題になるというのもその一端だろうと私は思う。今までは××だったのにという価値観の上にいるとろくな目にあわないのはどこでも同じだが、中国は殊に既存の価値が受難の時代なのかもしれない。