割引の落とし穴

10月のある日、市民プールに行くと、ちょうど冬の割引カードが発売開始になったところだった。1月半ばまでで10回180元(1元=13円)。正規料金では1回30元もするのでラッキーと思って手続きをしたあと、2回行っただけでずいぶんサボっていた。


ぼちぼち使い切らないと、ムダになるどころか馬鹿高くついてしまう。北京に戻った早々、零下10度の中をプールに出掛けてゆくと、それは内装工事のまっただなかだった。入口にペラリと貼られていた掲示によれば、工事は11月初めから始まったらしく、「1月よりリニューアルオープンの予定」となっている。


「1月より」というのと「予定」というのがくせもので、いったい1月何日になったらオープンするのかわからない。そもそも工事の通知なしに、10月に冬季カードを発行しておいて、11月と12月がまるまる使えないというのは、そりゃあんまりな話なのである。


しかしごねたところで、まず払った金は戻ってこない。せめて工事期間を考慮にいれた使用期限の延長とか、そのくらいの措置は取ってほしいところだが、それもあまり現実的ではない。また、窓口のおばさん相手に文句を言ったところで、鼻で笑われ紙切れみたいに吹き飛ばされるだろう。そしておばさんはごね続ける私に、きっとこんな風に妙案を繰り出すのだ。「一人が8回来ても、8人が1回来ても同じだから、友達連れて来て料金回収したら」とかなんとか。


もっとも最近は消費者もウルサイ。下手をすると新聞に投書されて騒ぎも広がる。何か対応措置を取っている可能性がないわけではないけれど、所詮、安いモノというのはあらゆるところで落とし穴がある。たとえそれが単なる市民プールの割引カードでも、安価な分譲マンションでも。


ということで、妄想ばかりぐるぐる巡らせていてもしょうがないので、明日にはさっさと事務所に電話をしてどうなっているか聞いてみようと思う。