小泉首相の「ペン外交」

ソニーのデジカメ問題とは話が前後するが、東アジアサミットの首脳宣言署名式で温家宝首相が小泉首相にペンを「貸した」ニュースが話題になった。毎日新聞の報道によれば、小泉首相は自席に用意されたペンを使わず、温首相の方に右手を差し出し、温家宝がペンを手渡すと各国外交団から拍手が上がったとのこと。


ちなみに中国の新華ネットでは、香港紙「大公報」の報道を伝えた中新報電を掲載するといういつもながらややこしいやり方で、「こんな重要なときにあえて「ペンを忘れ」、平和のペン外交をする小泉首相は、隣人を損なうような政策をやめるべき」と評していた。また温家宝首相は「傲慢でもなく卑屈でもなく、小泉の要求を満たした」そうである。


BBCサイトの12月14日付け記事では、小泉首相靖国参拝に中国が強く反発したことや日中首相会談を設定できなかったことを伝え、くだんのシーンについては「温首相は数秒間、小泉首相の申し出を無視し、マレーシアのバダウィ首相が仲を取り持ったと伝えられる」と硬直した様子が伝聞形式で書かれていた。


小泉首相の「ペン外交」は、先の選挙でも小泉劇場を展開した小泉流パフォーマンスだったと思う。これはあくまで国内向けで、国際的にはあまり意味をなしそうもない。日本でも小泉パフォーマンスにはあちこちでツッコミが入るだろう。ただ、大衆受けするという点で、小泉首相はいつでも概ね成功するのである。