携帯登録義務と統制と人口コンプレックス

中国政府は全ての携帯電話利用者の登録を義務付けるという。現在、中国の携帯電話利用者は4億人に迫る勢い。すでにプリペードカード式携帯は登録が義務付けられているが、今回、対象となるのは後払い式の携帯電話でそれも数億人にのぼるというニュースである。


細かい数字の根拠は定かではないが、何にせよ、日本の人口をかる〜く超える数の個人データを中国の携帯電話キャリアは管理することになる。実現の可能性はともかく、中国ではいちいち数字がでかい。


例えば現在、16歳以上に義務付けられている身分証をすべてICチップ入りのものに交換する計画が進められており、それも数億人に上る。余談ながらこの身分証は、日本の富士ゼロックスICカードの印刷技術を提供しているとのことで、一時「中国の身分証が日本製!?」とニュースが流れ、反日感情が盛り上がっていた。


閑話休題。この身分証総入れ替えについては、果たしてすべての身分証を混乱なく交換できるのかということが問題視されていたが、政府の国民数億人を対象とした「通達」は、どこか「掛け声」じみていて、どこまで本気かよく分からない。とりあえず、おおざっぱなところまでやって、「すばらしい成果」とかなんとかいいながら、終わったことになることも少なくない。


そもそも携帯電話も、プリペードカード式は身分証の登録が義務付けられているはずだが、以前、中古市場で買ったときには何も言われなかった。こうした抜け道は中国ではいつものことである。それゆえ、今後は未登録の番号は強引に利用を止め、犯罪防止に勤めるというのだが、実際は携帯を利用した当局批判を封じ込めではないかという見方もある。


携帯キャリアは企業化しているとはいえ、もとは国の通信機関の一部であり、現在も筆頭株主は国である。取り締まろうと思えばやれないことはないだろうが、それにしても4億人近くのユーザーを統制するのもラクではない。もっとも数億人で「どっひゃ」と思うのは、人口1億人程度の日本人的感覚なのかもしれない。