海外フリーランサーの税金考

最近、サラリーマンの増税がじわじわと進んでいる。そんなサラリーマン生活をやめて、海外にてフリーランスで働いた場合、果たして税金はどうなるか。収入源が海外にある場合、その国の税法に従うのが基本だが、日本に収入源がある場合はやはり日本で所得税を納める。


しかし日本に生活のベースがない「非居住者」は日本に暮らす「居住者」とは税率が異なる。講演料や原稿料などの源泉徴収では「居住者」が10%、日本に生活のベースがない「非居住者」は20%となる。「非居住者」の住む国が日本と租税条約を結んでいる場合、税率はその規定に従う。


また住民票を海外に移していると、確定申告ができないため、払いすぎた税金が返ってこない。確定申告とは住民票のある地域の税務署で行うものだからである。ただし住民票がなければ、住民税を払う必要もないし、未払いの年金も年数だけはカウントされるといったメリットもある。


ちなみに所得税法の定義によれば、「居住者」とは「国内に住所を有し、又は現在まで引き続いて1年以上居所を有する個人」で、「非居住者」とは「居住者以外の個人」。およそ女は「男ではないもの」と言われているような定義だが、要するに住民票が日本になくても、あるいは海外で永住権を取得していても、日本に生活のベースがあればすなわち「居住者」となる。その区別は「客観的判断」で行われるそうである。


結局、住民税が確定申告の還付金を超えない、つまり月の収入が少ないうちは、海外にいても住民票を日本に残し、地道に住民税を払いながら確定申告をして、源泉徴収で払いすぎた税金を戻してもらったほうがお得となる。


なお余談ながら、中国での個人所得税の税収における割合は、1996年に2%に満たず、2004年には7%近くに拡大したものの、先進国の30〜50%には及ばない。このため2004年に外国人の個人税徴収を強化する通達が発布された。現在、中国での外国人の所得税率は、月収500元(1元=13円)以下は5%、500元超2000元以下は10%と上がってゆき、10万元を超えると45%におよぶ。


しかし中国における個人所得税の税収率の低さは、原因を辿れば、所得の低さもさることながら、「税金払いたくないなら、領収書いらないって言えばいいんだよ〜ん」と社長自らのたまう慣習も大きく関係しているに違いない。