議員秘書の仕事

8年くらい前、古美術の雑誌を作りながら「編集の学校」に通っていたことがあった。そのころ、私を含め20代の初々しかった仲間はすでに30歳を超えたが、あいかわらずそろって独身である。私の周りは男女を問わず、結婚する友人が非常に少ない。


さておき、そのころ理系の仕事をしながら、郵便受けにコオロギを入れる話(前後の脈略は忘れたが)を課題で提出していた20代半ばの若者は、現在、閣僚入りした議員の秘書を勤める30男になっていた。秘書歴すでに5年になるという。


秘書というと、センセイの右腕となって支え、センセイが何かやらかしてしまったときにはシッポ切りのシッポにもなるというイメージがあったのだが、あいにく彼はシッポになるほどの仕事はしていないという。彼自身、政治家になる意志はなく、秘書はお給料をもらうための仕事にすぎない。「いわゆる会社の上司にあたる人物がいきなり社長だったという感じ」というのが、彼の解釈する秘書のイメージである。


サラリーマン秘書はセンセイが収賄容疑で捕まったりすれば職を失いかねないし、衆議院の場合は解散して職を失うこともある。けっこう不安定な職業なのである。職を失ったときは、新たに職探しに出かけるか、あるいは他のセンセイの事務所に紹介してもらうのだという。


なお、センセイが閣僚入りしても、秘書の給料は変わらないそうである。