「Jの悲劇」と10年来の友人

銀座で「Jの悲劇」を見た。原作はイアン・マキューアンの「愛のつづき」、監督は「ノッティングヒルの恋人」のロジャー・ミッチェル、ちょっとサイコな心理サスペンスを売り文句にした映画である。主人公の男性はなかなか成功した大学教授で、偶然知り合った男に「愛」されつきまとわれるうちに、これまでの絵に描いたような幸せがぶち壊れてゆく。中途半端な詰めの甘い展開に、いまひとつ乗り切れないまま、エンドロールの途中で意味深な1カットが挿入されてフェイドアウト。妙にストレスがたまる映画だった。


ところで男同士の愛といえば、ひょんなことから10年来の男友だちが、実はバイだったと知った。日常では全く接点のないちょっと変わった出会い方をした友人で、考えてみればこの10年、彼のプライバシーを気にしたこともなかった。確かに言われればそうかと思うふしはないわけではない。別に彼の嗜好が何であれ、私の彼に対する愛も友情も変わるわけではないけれど、それにしても10年ぶりに友人がバイだと知る現実は、個人的には小説よりも映画よりもシュールなのである。