中国人もうつ病なり

今年6月の中華医学会精神病分会委員の発表によれば、中国のうつ病患者は2600万人いるそうである。いまひとつ根拠のはっきりしないデータではあるが、2600万人といえば北京と上海の戸籍人口を足したくらいの人数。


中国ではうつ病は、まだまだ「気の病」という認識が高く、患者は自覚症状があっても医者には行きたがらない。また、病気への知識不足から、薬を飲み治療を受けるケースは1割に留まるという。そもそもうつ病の発見率は20%程度で、潜在的うつ病患者はさらに多く存在するのだとか。


数字の根拠はあいまいだが、中国でもうつ病は話題に上る病気となった。北京大学清華大学のエリート学生には自殺も少なくなく、カウンセラーにかかる学生が多いと、清華大学の大学院生から聞いた。


日本人の私からすれば、基本的に中国人はうんざりするほどタフだと思う。失敗してもめげないし、傍から見れば「それ、どうやっても無理だと思う」というようなことも、とにかくやってみないと納得せず、それで失敗してもめげずにまた「その方法は……」というような日本人的にはむちゃくちゃな方法を繰り出してくる。中国人ともめるたびに、本当にいいかげん折れてほしいと思うことは日常茶飯事である。


しかし一人っ子政策世代の若者は、打たれ弱い中国企業に勤める人が言う。問題が生じると、トイレでしくしく泣いているという話も聞いた。今の20代と文革を経験している40代以上では全く違う国民のようでもある。


中国人のうんざりするようなタフさは、日本人である私にはかなりハタ迷惑ではあるけれど、同時にそれはこの国の人のいいところであるとも思う。しかしあと20年もすれば、この国のメンタリティは、今とはだいぶ様相が変わるに違いない。