拆(チャイ)と偽セールとブルドーザー

取り壊しのことを中国語で「拆(チャイ)」という。以前にも何度か書いているが、取り壊しが決まった建物の壁には白いペンキで「拆」と書かれ、そのうち本格的に作業が始まる。北京在住の日本人の間では、すでに「拆(チャイ)」は日本語で、「そういえば××の店、チャイされたって」という風に使う。再開発中の北京ではいたるところチャイなのである。


さてそのチャイが、私の家の前でも行われている。最近、北京で力を入れている地下鉄建設の一貫で、駅ができるのだ。道路沿いの店の壁に「拆」マークが書かれ、閉店セールのビラが貼られる。「今度こそホントに拆(チャイ)セール!」と書いている洋服店もあり、ということは以前の拆(チャイ)セールは、チャイを名目に原価の安い品物を通常価格で売る偽セールだったのかもしれない。


さておき、店は本当にカラッポになり、日焼けしたおじさんたちが鑿で天井から順番に壊し始める。チャイの基本は手作業なのだ。薬局もDVD店も雑貨店も食堂もみな、景気よくガンガンと穴をあけられ、見た目にはちょっと楽しそうである。なお、ビルはどうするのかと見ていたら、ブルドーザーでガリガリと壁を掘ってくずしてゆき、数日後には瓦礫の山と変わっていた。