鳥インフルエンザとウサギの孤独

中国の鳥インフルエンザは5月の青海省、6月に新彊、8月にチベットと北西部から広まり、10月にはその東側に続く内モンゴルへ、今月3日には内モンゴルのさらに東の遼寧省で発生が確認、南の方では上海に近い安徽省で発生している。


というわけで、このところのメディアの話題は鳥インフルエンザである。中国語では「禽流感(チンリウガン)」、猛禽類の流感なのである。現在のところ、政府の発表では、中国での人への感染は認められていない。


報道によれば、遼寧ではただちに責任体制を作り上げ、省内全市で100%の「緊急免疫」を行い、1羽も漏らさず情報を把握、速やかな発見、速やかな報告、速やかな処置を行うのだとか。あるいは中国沿岸の上海に続く貿易商業都市深セン市では発生はまだ確認されていないものの、「人民に対する高度な責任感」を持って、各関連機関で予防対応案を作成し、検査検疫を強化するのだとか。


SARSのときもそうだったが、この手のニュースでは、メディアは政府の万全の体制とスローガン、その偉大なる努力と功績を伝え、人民を励まし一致団結を促す機関となる。


北京では抜き打ち検査を行い、18の飼育場に注意を勧告、市外との接点では「人-機-犬(人、機械、犬)」体制のチェックで、携帯品や郵便物を検査、さらに観測員を20人に拡大し、先日は3羽の鳥の死亡を確認したが「異常なし」だそうである。また、一般庶民の対策としては鶏肉、卵はよく火を通して食べること、家庭で飼育している鳥は、できるかぎり外界から隔離し、こまめに掃除し、掃除の際にはマスクをし消毒をよく行うこと。


ところで、マンションの同じフロアの家で飼われているウサギは、しばらく玄関前の外の廊下で放し飼いにされていたが、そのうち、小さなカゴに入れられ玄関前に置かれるようになった。さらにここ数日は、薄暗い階段脇にぽつんと放置されている。


鳥インフルエンザとは関係ないと思うのだが、通りかかるたびに、ウサギは狭いカゴのなかで狂ったように後ろ立ちのポーズを取り、なでると目を閉じてうずくまる。ときどき、ウサギも気が狂うのだろうかと思う。それにしても糞尿の匂いがきつく、かまっているとそのうちこちらが病気になりそうである。