フリーと靖国と私憤

北京を中心にフリーランスが長い日本人と話をしていると、「靖国参拝反対だ」と言う。夕飯を食べながら反対論を唱えるので、論議を挑まれているのかと話を続けていると、「それで賛成か反対か」と迫る。そもそもここで賛成反対を論じてもしょうがないと思うのだが、そう答えれば「話をそらしてる」と怒る。


よくよく聞いてゆくと、小泉首相靖国参拝すると仕事は飛ぶし、タクシーの運転手には罵られるしと、要するに私憤なのである。会社の上司がやってらんないとか、あのクライアントは最悪だとか、その手のサラリーマンの愚痴とあまり変わらない。


こちらをベースに仕事をしている日本人は、日中関係がもめるたびに、たとえば日本の雑誌の旅行企画が飛んだり、エンターテイメントのイベントが飛んだり、あるいは日系企業が露出を控えるためにその分仕事が減ったりと、いろいろあるのだ。挙句にタクシーの運転手には罵られ、頭のおかしい運転手に「殺してやる」とまで言われる。


ならば他の国に行けばよさそうなものだが、サラリーマンの愚痴にしても、会社を変えるか自分で起業すればよさそうなもので、だからこその愚痴である。


もっとも靖国参拝も、その後に大々的な反日デモでも起これば、逆にフリーの仕事が増えていいのかもしれない。