道端小景

道を歩いていると、ネギと白菜が歩道をふさいでいた。つまり歩道いっぱいに高さ1mほどのネギの山と白菜の山が出現しており、山の真ん中にはそれぞれ500グラム0.16元(2円)の札が立っている。野菜の安い北京でも格別の安さで、ネギも白菜も束で飛ぶように売れてゆく。それにしてもどこからどうやって持ってきたのか、ある日の昼過ぎ、北京の道端はネギと白菜の叩き売りの場に変わるのである。


乾物菓子屋の屋台前に人だかりができていた。分け入ってゆくと、炒りたての栗を売っている。1袋500グラム5元(65円)。おばさんやお姉さんたちが5元札を握って手を伸ばして待っている。店の人も慣れたもので、片端からそれを裁いてゆく。


一緒に並んでいると、脇からにゅっと伸びた手に1元札(13円)が握られていた。見れば人民服風のうわっぱりを着た黒ぶち眼鏡の北京ウン十年風お年寄りで、店主が「それじゃだめだ」と言っても、「なんでもいいから」と1元札を突き出す。結局、店主は袋に栗を数粒放り込み、1元札と交換していた。


夕暮れ時、バスが渋滞にはまると、隣に海軍のトラックが並んだ。軍用車はナンバープレートでそれと分かる。荷台の長い東風トラックで、後部はオープンになっている。トラックは5、6台続いており、中にはいずれにも田舎から出てきたばかりのような若い兵士たちが、運搬中の豚のごとくぎゅう詰めになっていた。サラリーマン家庭の多い都市部では、最近は兵士の成り手も少ないそうである。