人身売買

中国の「イーベイ」サイトのオークションに赤ん坊が出品されたという事件が、日本のサイトでも伝えられていた(http://hotwired.goo.ne.jp/news/culture/story/20051021201.html)。中国では男児を欲しがる農村で女の子の赤ん坊が売りに出されることが多いが、それ以外に子供の誘拐が相次ぎ、社会問題化している。昨年、82人の子どもをシンガポールに売りとばしていた福建省の人身売買集団が逮捕され、今年8月、主犯格に死刑判決が下された。子供は一般的に、金持ちに売るケースもあれば、臓器売買や路上で物乞いをさせるために売るといった話も聞く。


北京でも子連れの物乞いをあちこちで見かける。必ずしも親子ではないと、地元の人は言う。真偽のほどはわからない。ただ、物乞いは組織立って行われている場合が多く、子供は通行人の同情を得るためのアイテムとなる。


有名ホテルの近くでは、ビラ配りの少年たちに出くわす。彼らは車が来ると、ピラニアのごとくいっせいにやってきて、ビラをボンボン放り込んでゆくのだ。夜中の大型ディスコ前にはやはり子供の花売りがいて、これもまたピラニアのごとく突進してくる。


花売りといえば、成都の路上で明け方、屋台の客に花を売りに来た少年が、店員にボコボコされ、大泣きしつつも店の椅子にしがみついてバトルを展開していたこともあった。あるいは北京で、背負っていたバックパックのジッパーを開けられそうになったことがあったが、途中で気付いて振り返ると、少年が全身から憎悪を立ち上らせて私をにらみすえていた。


キビシイ生存競争のなかで生き延びている彼らの生存エネルギーに、うっかり巻き込まれそうになったとき、それに勝てるものを私は今のところ何も持ち合わせいないと思う。