記念パーティとおばさんの愚痴

中国のナショナルグラフィック「中国国家地理」の創刊55周年記念パーティが、北京のゴージャスな高級ホテルで行われた。私は以前、日本版の編集をしていたことがあり、お呼ばれしたのだが、行ってみると1000人以上入りそうな宴会場で、テレビ局のキャスターを司会に迎え、少数民族の踊りあり、パフォーマンスありのバブリーな宴会だった。


「中国国家地理」は数年前に、アメリカのナショジを真似て、全面的にリニューアルしてから、最近の旅行ブームも重なって確実に部数を伸ばしている。平均部数は20万部、リニューアルにあたって新設した読者倶楽部が受けた。「読者と行くチベットの旅」などを企画し、紙面を越えてなかなか稼いでいる。バブリーな記念パーティでも、大手ポータルサイトをスポンサーにつけ、商売上手な雑誌でもある。


私が日本版をつくっていたころは、研究機関の一角にあるなんとなくしょぼい雑誌だったのだが、今はぴかぴかの新社屋に移り、社員の数も数倍になった。


そのパーティで隣に席になったおばさんは、大学のキャンパス雑誌のカメラマンをしているという。取材でチベットに1ヶ月くらい行ったエピソードを意気揚々と話していたのだが、さらにその隣に座っていた地理関係の研究所に勤めるおばさんが、ヨーロッパ旅行に行った話を意気揚々とし出すと、少しつまらなそうに押し黙った。そして、「こんな大きなパーティ開いちゃってさ、ムダ使いだと思うのよ」と、私に愚痴っていた。