ごっつい話

バスに乗ると、「消毒済み」の掲示を見かける。これは2003年のSARSのときからの習慣である。あのころ、バスの「消毒済み」シールは毎日、その日の日付が記入されていた。最初のうちはずいぶん丁寧に記入され、消毒もばっちりという感じだったが、時間がたつにつれ、日付を書く部分が擦り切れ、いつのまにか「消毒済み」と書かれたシールに変わった。


その「消毒済み」シールも、今はどこかの会社が提供しているのだろう、先日見かけたものには、ミネラルウォーターの配達所の広告が載っていた。消毒のほうはあまり完璧という感じではなく、手すりにつかまっていると、手のひらが黒くなった。


休みの日の昼過ぎ、近所の食堂で食事をしていると、パジャマ姿の夫婦が入ってきた。周りは特に気にした風ではない。普段、団地のなかでパジャマで犬を散歩させている人たちをよく見かけるので、「ああ、この延長か」と思う。もっとも中国の人は「パジャマで散歩はいいけど、食堂はどうよ」と思っているかもしれないが。いずれにしても、パジャマで食堂に人がやって来ても、それは案外、日常の光景なのである。


私のベッドは異常に硬い。シートの下は板なのである。これは引越し前、大家のおじさんに「ベッドのディエンズ(マット)はいらない?」と聞かれ、「電子(ディエンズ)?電気のはいらない」と答えたせいである。引越後3ヶ月ほどして、「ディエンズ」というのがマットのことだと知ったが、もともと腰の悪い私は、板の上に寝ていると調子がいい。硬い板は腰には優しいらしい。


ナスの塩もみが食べたくなった。あのきゅっきゅっとした歯ごたえがなつかしい。私は料理オンチだが、ナスを塩でもむくらいはできる。八百屋でいつもの丸ナスを買って、塩もみにしたところ、ゴリゴリとした歯ごたえのやけにアクの強い塩もみが出来上がった。中国はナスまで屈強なのである。


以上、最近出くわした、どこかごっつい話である。