中国式結婚

「中国式離婚」という小説は最近の中国のベストセラー本の一つで、ドラマにもなった。最近は北京テレビで「中国式結婚」というのをやっている。書店には「中国式経営」とか「中国式××」といった本が並び、最近、妙に「中国式」を目にすることが多い。


さておき、友人が結婚した。新郎が日本人で新婦が中国人。その結婚式の前半が伝統的中国式だった。日本の伝統的な神前結婚式が「粛々」であるならば、中国式は「どんちゃん」である。花嫁は花轎(ホアジャア)に乗り、ラッパ隊が先導する賑やかな行列を組んで、新郎の家まで行く。花婿花嫁ともに赤い衣裳に身を包み、そこいら中が真っ赤である。花嫁は赤いベールをかぶっており、顔はわからない。


花婿の家では天地を拝む三拝の儀式を行う。花嫁は先に洞房(ドンファン)と呼ばれる新婚夫婦の部屋に入り、花婿を待つ。しばらくして花婿も洞房に入り、花嫁のベールを取る。かつて、婚前に顔を合わせることは非常に稀だったとのことで、このとき初めて花嫁の顔を拝むことができる。それはもう、緊張の瞬間なのである。


その後は親しい友人が洞房に残り、「閙洞房(ナオドンファン)」の大騒ぎとなる。初対面の2人を打ち解けさせ、初エッチをスムーズに行えるようにする目的があると聞く。ゆえにかなり下品だそうである。


余談ながら、普段、中国人の友人にエッチの話をしようものなら、激しく引かれる。それまで仲良く話をしていた友人の顔が能面のようにこわばるのである。日本のような感覚で、エッチの話をすると、それは非常に礼儀に反する。しかし房中術を生んだこの国は、元来、性文化の奥は深い、はずだと思う。


閑話休題。友人の結婚式はこれらの行程を簡略化かつエンターテイメント化したもので、さらに後半は西洋式。シャンパンタワーも、ケーキカットもあり、キャンドルサービスもあった。それにさらに中国式が加わり、新郎新婦は各テーブルを周り、白酒(バイジュウ)で乾杯、グラスを空ける。会が終わるころには、新郎の目が泳いでいた。


ともあれ、底抜けの晴天のもと、盛りだくさんの幸福な結婚式だった。2人の末永い幸せを祈ります。