瀋陽

晴れ。7時半瀋陽着。最低気温10度を切る。上着をを着込んで街に出ると、道行く人々は薄手のジャケットでさっさと通り過ぎてゆく。


こぎれいな安ホテルにチェックインをして、九・一八事変(満州事変)博物館へ。瀋陽(旧奉天)郊外の柳条湖(溝)における関東軍の自作自演爆破と東北侵略をテーマにしたもので、入場料20元(1元=13円)。お国の重点記念館ではあるものの、維持、管理は国の手厚い保護がないかぎり、地方政府の財源だけでは賄えない。


北京の抗日戦争記念博物館や南京の虐殺記念館などもそうだが、こうした抗日スポットはどこか金太郎飴である。前半は日本軍の残忍きわまる侵略行為、後半はそれに果敢に戦う中国共産党、おわりは「日本が再び軍事主義国とならないよう、『正常』な国となるよう平和を祈る」というもの。館内はおおむね薄暗く、パネル展示が中心で、ときどき再現シーンの立体パノラマが出現する。看板を変えても、実はさほど変わらないのではないかと思えてくる。


館内には小学生くらいの子どもを連れた家族づれがピクニックのごとく、白骨の写真を撮っていた。売店のお兄さんと話をしていると、特に今年は60周年なので、なかなか人の入りがいいという。「どこの人?」と聞かれて「日本の人」と答えると、「政府間のことは一般庶民にはなかなかどうもね」と言い、お兄さんは50元の日本語パンフレットを陽気に薦めた。


午後、北京遷都前の清朝の宮殿、瀋陽故宮に行くと、北京の故宮をコンパクトにしたような宮殿の各スポットに学生ボランティアがいて、説明をお願いするとよどみなく解説してくれる。金と赤のたすきをかけ、なかなかエリートな感じなのである。それで観光客のおじさんが「疲れない?」と声をかけると、「でも先生の指示なので・・・」とのことだった。