抗日的話題

祝日のあっけらかんとした晴天の空が青い。思い立って今夜の夜行で瀋陽に行くことにした。連休中の旅行ラッシュでチケットが買えないかと思ったのだが、おもいのほかあっさりと買えてしまった。


瀋陽といえば、郊外には満州事変の発端となった柳条湖(柳条溝)、近郊都市には戦犯管理所や日本軍の虐殺で知られる平頂山遺骨館があり、紅色旅行(レッドツアー)スポットの1つである。


紅色旅行は以前の日記にも書いたが、中国共産党の革命記念地を巡るツアーで、抗日戦争勝利60周年を受けたキャンペーンの一種。夏ごろには書店に専用のガイドブックが平済みになっていたが、いまはすでに棚差しとなり、かわりに平台では立ち読みされた上海や香港のガイドブックがあちこちに散乱していた。


このところ抗日ドラマがオンパレードだったテレビも、韓国ドラマや武侠ドラマなどが放映されるようになり、抗日色が薄らいできた。9月末には「インターネット新聞情報サービス管理規定(互聯網新聞信息服務管理規程)」が施行され、ネットで「民間」の反日デモが盛り上がることを封じた。大阪高裁が首相の靖国神社違憲としたニュースは、中国でも伝えられ、新華社は「日本の各紙が、社説で小泉首相の参拝中止を訴えた」と報じた。


こうしたニュースを見ていると、実は参拝を中止しなくても、中国的にはそれほど都合は悪くないのではないかと思えてくる。敢行すれば「小泉参拝!」と盛り上がり、人民にかつての抗日戦争の記憶を思い出させ、「軍国主義化する日本」に対する「民意」をあおる。それは同時に日本への圧力にもなる。「民意」をあおりすぎることへの危険はあるが、いずれにせよニュースは料理次第なのである。


お知らせ:今夜から4〜5日、瀋陽・大連の紅色旅行スポットに行ってきます。その間の日記は、現地のネットカフェからライブで行います。全然「秘境」ではありませんが、またまたどうぞお立ち寄りください。