耳燭(アールジュウ)

北京でじわじわと耳燭(アールジュウ・じそく)が流行っている。簡単に言うと、耳に蝋燭を突っ込んで燃やす健康療法である。真空状態を作り、耳のゴミを吸い出すデトックスの耳バージョンという感じだろうか。脳に酸素を送り、新陳代謝をよくし、不眠症を解消するとかいろいろな効果があるが、真偽のほどは確かでない。


ネット情報によれば、日本語ではイヤーキャンドリングとかイヤーキャンドルとも称され、10年ほど前に流行ったとか。古代インドから中国に伝わったものの、その後廃れ、海外での流行と最近の美容ブームで再び復活という歴史をたどるようだ。台湾で一足先に流行っているので、大陸のブームも台湾の影響があるかもしれない。


さておき、近所のマッサージ店でオイルマッサージ+耳燭150元(1元=13円)を春節キャンペーン価格80元でやっていたので行ってみた。安いところでは、数十元でできる。見た目は長い蝋燭に火をつけると、反対側から煙りが出てくる。この部分を耳に入れてしばらく待つ。


蝋燭が目盛りのところまで燃えたら、蝋燭を切って火を消す。中の空洞になっているところを掻き出すと、蝋燭のカスがポロポロ出てくる。これに吸い取られた耳垢(のごときもの)が混じっている。


健康だと量も少なく、色は白に近いという話だが、私のは黄色じみて、3ミリぐらいの塊だった。「風邪引いてます?」と聞かれたが、さっぱり元気なので、見立てはいまひとつである。


反対側も同じようにして40分ほどでおしまい。何かすっきりしたかというと、別にたいしてすっきりはしなかった。夜、よく眠れますよと言われたのだが、結局、その夜は徹夜だったので効果のほどはよくわからない。


こうした「なんとなく健康系」エステは、身も心もボロボロのときにやらないと、いまひとつなんだか実感がわかないものである。