中国のトンデモ的発言

9日に北京で開催された日中の非公式局長級協議で、中国側が日本のメディアについて「良い報道がなされるよう中国はメディアを指導している。日本政府も指導すべきだ」と述べたという報道があった。


ツッコミどころ満載のなんだか口がすべってしまったようなこの発言の真偽は、詳細な情報と分析のブログ群に譲るとして、それで思い出したことがある。以前、中国の某雑誌が日本語版の発行元として、日本の大手出版社に打診をしたことがあった。このとき、日本にやってきた中国側が「御社が発行している『××』(中国バッシングをしている右系雑誌)をやめていただけたら、うちの雑誌を出させてあげます」と話を切り出し、ご破算になったという話だった。


これはあくまでも伝聞にすぎないが、中国にいると、「とりあえず言っとけ」的むちゃくちゃな発言に面食らうことは少なくない。自己主張は、それがたとえ相手にとってどんなに「非常識」なことでも、とりあえず言っとく分には損はない(たぶん)。


ただし、「言っとけ」発言のあと、双方、落としどころを探るところもまた中国流である。たとえば店で値段交渉をする場合、中国人同士では買う方も売る方も、自分の主張に100%基づいたとんでもないふっかけから始まり、バトルのような様相を呈する。最終的には落としどころに落ち着くか、それでも落ちないときは決別するが、後腐れはなくあっさりしている。


外交と買い物は一緒にはならないが、日本的には「とんでもない」ところから話が始まるというのは、中国では比較的よくあることだ。その後、どこに落としこんでコンセンサスを取ってゆくかが双方の腕の見せ所になる点は、日常生活レベルに限らないのではないかとも思う。


日本が中国の言い分はとんでない、と思っているころ、中国では日本の主張は何が言いたいのかわけわからん、と思っているかもしれない。