日本的ケータイとローカルルール

最近、日本の携帯電話が中国で売られているという。これは中国通の友人から聞いた話。非常にローカルな日本の携帯電話が、なにゆえ中国で売れるのかと言えば、最近の3G携帯はGMSW-CDMAのグローバル通信規格を採用しており、中身のSIMカードを現地の物と交換することで、理論上は海外の携帯電話として利用できるのである。これは中国に限ったことではない。


なおSIMカードとは電話番号を内臓したメモリのようなもので、日本の携帯電話はこれと電話機が一体となっている。しかし海外では一般にカードを入れ替えれば、同じ機体で別の通信キャリアのサービスを受けることができる。つまりドコモの携帯電話を買っても、通信規格が同じなら、中身のカードをボーダフォンのものに変えることによって、ボーダフォンの携帯電話として利用できるというものである。


こうしたグローバルな3G携帯事情により、安価で良質な日本の携帯電話本体を海外で売って稼ぐという商売も現れた。これを防止するため、日本の携帯電話には他社と互換できないようにSIMロックがかけられている。しかし、SIMロックを解除するソフトも出回り、日本語の基盤を中国語版に書き換えるサービスも行われている。


これは厳密に言えば違法ではなく、必ずしも営利目的で行われるわけではない。しかし、キャリアには当然ながら歓迎されず、携帯本機を高額にする、SIMロックの暗号を複雑にする、あるいは解約時に高額の解除手数料を取るなどの対策が取られている。


こうして今のところ、キャリアは日本のローカルルールを死守している。けれど携帯電話がさらに国境を超えるようになれば、キャリアへの加入と抱き合わせで電話機本体をタダにする日本ルールも、どこかで転換を余儀なくされるかもしれない。