ナシ族の歌手とトンパ文字と女の子募集中(?)

妙な縁というのはあるもので、2年前に一度会った青年と、ひょんなことで再会した。彼は雲南省麗江周辺に暮す少数民族、ナシ族の由緒正しき(?)音楽名門一家の4代目で3人兄弟の末っ子。姉は中央テレビのイベントで賞を取り、最近、CDも出した。


祖母がまた雲南では有名な歌い手で、中国のロックの教父、崔健ともセッションしたことがある。ロックとナシ族のおばあちゃんのセッション、なかなか素敵な組み合わせなのである。


ナシ族といえば、日本では彼ら独特の「トンパ文字」がずいぶん紹介された。トンパ文字はいわゆる絵文字のようなもので、たとえば、人の絵の形を描くとそれは「人」であり、顔のところからふにゃふにゃと線を引くと「歌手」に、さらに足のところからふにゃふにゃと線を引くと「ダンサー」になるという。


レストランでご飯をしながら、ナプキンにさらさらとトンパ文字を書かれると、なんだかミラクルなのである。「これってテキトーに書いた?」と聞くと怒られた。ちゃんとした法則があるとのこと。だからこそ「文字」なのだが。


ところでこの彼、彫りが深くとにかく綺麗な顔をしている。以前、会ったときはまだ音楽科の学生で、初々しく可愛い感じだったのだが、2年ぶりに再会するとすっかりいい男になっていた。ピンクの中華ファッションな服が違和感なくはまるいい男である。さらに当然ながら美声なため、携帯番号を読み上げる声まで朗々と響いてうっとりする。


「あなたの姐姐(ジエジエ・お姉さん)になりたいなー」と言ってみたところ、ちょっとした沈黙の後、「ファンならいいよ」と返ってきた。


また、人気の台湾歌手、周傑倫ジェイ・チョウ)については、「パッケージ歌手」と豪語。「俺も台湾でパッケージされればあのくらいはできる」とのこと。ジェイのファンが聞いたら闇打ちに会いそうだが、これぞ名門サラブレットの中国男子的プライド。


なお、帰り際、「5月に帰国するけど、お土産、何がいい?」と聞いたところ、「日本人の女の人」とのたまっていた。だれかお土産になりたい人がいたら、ご一報ください。