フリーランスのある1日。

フリーランスのライターというのはどういう生活をしているのか、と聞かれることがある。例えば最も怠惰な日は、昼に起きてパジャマのままネットし、近くの食堂に昼食を電話で注文し、届いたら半分食べて半分残し、その後は夕方まで昼寝し、起きたら昼ご飯の残りを食べて、シャワーを浴びて着替えて出かける。


あるときは、昼に北京の局部的銀座(?)、国貿(ワールドトレードセンター)で、駐在員の方と40元(600円)のランチバイキングをし、その後、ショッピングモールのトイレでぼろジャケットに着替え、貧民街の知り合いのおばさんちにいちごを持ってゆく。


ランチをした国貿からバスを乗り換えその地域へと移動すると、外の景色と道行く人々が次第に灰色じみてゆく。アスファルトがボコボコにめくれかえり、ヘドロのような異臭のする水がたまった道の先におばさんちはある。家には裸電気が一つ下がるだけで、トイレも風呂もない。路地に並んだ小さな食堂では、どす黒く日焼けした出稼ぎ労働者のおっさんたちが、3元(45円)の泥のような麺をかきこんでいる。


しばしおばさんと世間話をし、別れたあとは、再びバスで王井府(ワンフーチン)のブランド店がならぶショッピングモールに移動。ほこりじみた風景は、ピカピカのビルディングに変わってゆく。


モール内のスタバで12元(180円)のコーヒーを飲む。ちょうど会社帰りのOLやサラリーマンのカップルが集る時間帯で、きれいに化粧した美人のおねーさんや、パリッとスーツなどを着たお兄さん、さらに観光客らしい欧米人らが優雅にお茶をしている。私も一緒に優雅にお茶をしているのだが、実は黄砂のため、全身すなだらけである。


ついでにショッピングモール内のオシャレ系パン屋で3日分の朝食を調達。しめて20元(300円)なり。帰ってシャワーを浴びようと思っていると、チベット族の友人から電話。チベットレストランで彼女の知り合いが出演する出し物があるので来ないかというお誘い。


一旦、家に戻って荷物を置き、顔を洗うと水が真っ黒になる。化粧しなおし、タクシーで移動。レストランで舞台の正面に陣取っていた友人だちと合流。友人のおごりで、ただ飯をいただいている間、舞台は歌に踊りに盛り上がる。


そのうち、舞台から降りてきたチベタリアンのお姉さんたちに手をつかまれ、一緒にチベタリアンダンスを踊らされるはめに。といっても、これが初めてなので、よくわからない。とりあえず盆踊りをしておく。


そうこうしているうちに夜がふけ、腰が抜けそうなので友人にいつ終わるのかと聞けば、「客がいるうちは終わらない」とのこと。風邪ひきを理由に先に退散。という、なんだかよくわからない1日もあったりする。